「こども応援ネットワーク埼玉」 は、埼玉県が行う子供たちが希望を持って大人になれるような社会を目指す活動です

トップ子供の貧困について | 「生きる力」の土台を育むために(非認知能力について)
非認知能力について

はじめに

幼児期(ここでは満3歳から就学前)は、遊びや生活を通して、幼児の意欲や態度、生活習慣など、「生きる力」の土台を育む大切な時期です。

幼児期の教育を行う幼稚園等での教育のねらいや内容は、国の示す「幼稚園教育要領 ※」 等で定められています。
例えば、次のような項目があります。

「見通しをもって行動すること」
「諦めずにやり遂げること」
「共通の目的の実現に向けて協力すること」
「自分の行動を振り返る機会をもつこと」
「自分の気持ちを調整し、友達と折り合いをつけること」
「自分のよさに気付き、自信をもってよりよくなろうとすること」

また、他にも「充実感」「安定感」「存在感」「自立心」「信頼感」「自己発揮」「公共心」「探求心」「好奇心」「創造性」などの、いわゆる「非認知能力」につながる言葉がねらいや内容の中にあります。幼稚園等では、幼児の心や意欲を大切にし、遊びや生活の中での人との関わりや体験の中で、こうしたいわゆる「非認知能力」を育み、「生きる力」の土台を育んでいます。

例えば、こんな悩みはありませんか?
「言うことを聞かない」「甘えん坊で心配」「じっとしていられない」
これは、自立心の表れであったり、興味・関心の高まりや、探究心の表れであったりするかもしれません。
保護者は子供の「応援団」です。お子さんの個性や成長を温かく見守ってあげましょう。

ここでは、幼稚園や保育所、認定こども園の教育・保育をもとに、「生きる力」の土台を育むためのお子さんとの関わりについてのヒントを、保護者の皆様にお伝えします。(埼玉県が作成した、「子育ての目安『3つのめばえ』」を参考にして作成しています。)

※保育所は「保育所・保育指針」、幼保連携型認定こども園は「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に定められています。

「生活力」を育む

「生活力」とは、社会生活をする能力のことですが、子供が健康と安全に気を付け、いきいきと活動し、自立した生活を送るための基礎となるものです。「生活力」は、日々の生活の中で育んでいくことが大切です。

規則正しい生活リズムを身に付ける

毎日、同じ時刻に寝たり、起きたりすることや朝ごはんを欠かさず食べることで、生活のリズムが整います。
規則正しく生活することが、幼稚園や保育所などで元気に過ごす活力になります。「早寝、早起き、朝ごはん」を習慣付けましょう。
<ポイント>
  • 「早寝、早起き、朝ごはん」の習慣を身に付ける
  • 登園などの時刻を意識し、行動する

外で遊ぶ

十分に体を動かして遊ぶことにより、体力や身体能力が高まります。けがや病気をしない丈夫な体をつくりましょう。
<ポイント>
  • 進んで外に出て遊ぶ
  • 安全に気を付けて行動する
  • 交通ルールを知り、守る

自分のことは自分でする

お子さんが自分で脱ぎ着がしやすい服を用意し、できないところをさりげなく手助けしながら、自分でできた喜びを感じさせるようにしましょう。また、パジャマをたたんだり、汚れた服を洗濯かごに入れたりすることなども教えていきましょう。
<ポイント>
  • 着替えや衣服の始末をする
  • かばんや帽子などを決まった場所にしまう
  • 脱いだ靴をそろえる

物を大切にする

一つ一つの物の置き場所を決めることから始めましょう。
きれいに片付けると気持ちがいい、しまう場所がわかっていれば使いたい時すぐに出せるなど、子供が「お片付けは大事なんだ」と、実感することが大切です。
<ポイント>
  • 遊んだあとの片付けをする
  • 食べ物や紙などを大切にする
  • 脱いだ靴をそろえる
こんな場面では・・・
【使ったおもちゃを片付ける時】
お子さんの気持ち
片付けなんて、面倒くさいよ
また使うんだし、このままでいいでしょ
お母さんが片付けてよ
親の気持ち
おもちゃが多すぎるから、大事にしないのかなあ・・・
このまま広げていたら、じゃまで困る!
大きくなったんだし、自分で片付けてほしい!
こんな時にはこんな言葉がけを・・・
「おもちゃを使って遊んで、とても楽しかったよね。」
「大事なおもちゃをなくしたり、こわしたりしないようにしまっておこうよ。」
「お片付けしたら、お部屋がきれいになったね。気持ちがいいでしょ。」
「しまった場所がわかっていれば、遊びたい時、すぐに出せるよね。」

「社会性」を育む

感情を上手に表現したり、友達と仲よく遊んだりするためには、幼児期の段階から、よりよい人間関係を築く「社会性」を育むことが大切です。子供は、日々の生活の中で、人と人とのふれ合いから「社会性」を学んでいきます。

家族とのあたたかいつながりをつくる

うれしい、楽しい、悲しいなどの思いを家族と共有できるように、お子さんの気持ちに寄りそうことが大切です。お子さんの目を見て話を聞き、お子さんの話にあいづちをうちましょう。また、毎日できるお手伝いをさせましょう。お手伝いを続けていることをほめたり、「助かるよ」「ありがとう」と声をかけたりすることが、お子さんにとって自信やはげみになります。役割をはたすことが自信につながり、自分が家族の一員であることを実感できます。
<ポイント>
  • 幼稚園や保育所でのできごとを家族に話す
  • 思ったこと、考えたことを家族に話す
  • 家の手伝いをする
  • 兄弟姉妹や友だちと、おもちゃなどの貸し借りをして一緒に遊ぶ
  • 小さい子供やお年寄りに思いやりをもって接する

きまりや約束を守る

子供は、まわりの大人の判断をよりどころとして、よいことや悪いことがあることに気付き、わかるようになります。大人がよいことや悪いことの判断を示すとともに、しかる時には「なぜ、その行動がいけないのか」「どうすればよいのか」をお子さんにわかるように話し、あたたかく見守ることが大切です。このような経験を重ねて、まわりの状況や自分がするべきことがわかるようになると、他人への思いやりや我慢することなどが必要なことにも気付き、きまりや約束を守ることができるようになります。
<ポイント>
  • よいことや悪いことがわかり、考えながら行動する

返事やあいさつをする

まず、地域の方とあいさつをするなど、まわりの大人が手本になりましょう。「大きな声であいさつすると、気持ちがいいね」「あいさつをしたら、お友だちともっと仲よしになった気がするね」などと、あいさつが人間関係を円滑にすることを伝えていきましょう。
<ポイント>
  • 元気よく「はい」と返事をする
  • 「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「ありがとう」「ごめんなさい」が自然に言える
こんな場面では・・・
【朝、お友だちに会った時、あいさつできずにモジモジ・・・】
お子さんの気持ち
「おはよう」って言うのは、はずかしいな
お母さんが言ったから、いいでしょ?
○○ちゃんだって、言わないよ
あいさつしたのに、知らんぷりされちゃったらいやだな
親の気持ち
他の子は、きちんと言えるのに・・・
しつけが悪いと思われてしまいそう
○○ちゃんの家でも、注意してくれればいいのに
大きくなったのに、もっとしっかりしてくれないかしら
こんな時にはこんな言葉がけを・・・
「元気よくあいさつすると、気持ちいいよ。」
「お母さんと一緒に言ってみよう。」
「あいさつしたら、お友だちと仲よしになった気がするよ。」
「〇〇ちゃんも、はずかしかったのよ。もう一度、言ってみようよ。」

「やり遂げる力」を育む

体験や遊びを大切にする

子供は、いろいろな遊びの中で、様々なことに触れ、興味や関心をもって関わり、さらに新たに遊びを生み出します。この遊びを持続し発展させ、遊び込むことで、楽しさや達成感を味わい、次の活動もやり遂げようとする気持ちになります。
ですから、この時期の子供には、さまざまな体験や、遊びが重要です。
<ポイント>
  • 身近な自然などに触れ、美しさや不思議さなどを感じる
  • 遊びに没頭する

本に親しむ

言葉もまだよくわからないお子さんには、「絵本はまだ早い」と思われるかもしれませんが、お父さんやお母さんが読んであげるやさしい声の響きや肌のぬくもりはお子さんに伝わります。大人は、絵本を一緒に楽しみながら、ひざの上の子供の重みや、日々豊かになっていくお子さんの感情表現から成長を感じとることができます。また、絵本から広がる世界は、お子さんの「好奇心」を満たし「創造力」を育みます。短い時間でも良いので、読み聞かせなどをする「本の時間」を作ってみてはいかがでしょうか。
こんな時にはこんな言葉がけを・・・
「じゃあ、寝る前に一緒に読もうね。」
「今日は、お父さんが読んであげるよ。」
「ご飯を食べ終わったら読めるように、本を選んでおいてね。」
「今日は、〇〇ちゃんが(登場人物の)うさぎさんね。」

夢をもつ

お子さんが関心をもって取り組んでいることや得意なことなど、その子のよいところを見つけてほめてあげましょう。
「こんなことをしてみたい」「こんな人になりたい」という、あこがれをもつことで、一層意欲が高まるとともに、家族の愛情を感じながら、自分の将来を楽しみにする気持ちが育まれます。
<ポイント>
  • やってみたいことや、なりたい人などのあこがれをもつ

興味・関心を大切にする

お子さんは、毎日の生活の中で、「不思議だな」「おもしろいな」「何でだろう」と興味・関心をもち、いろいろなことに気付いたり、考えたり、試したりしています。その中で、「できた」「わかった」という体験を重ね、学ぶことのおもしろさを知っていきます。興味をもった時が、学びのタイミングです。お子さんの疑問を一緒に考え、必要に応じて答えていきましょう。
<ポイント>
  • 身近な自然などに触れ、美しさや不思議さなどを感じる
  • 興味・関心をもったものに、じっくりと取り組む
  • いろいろなものに疑問をもち、質問する
こんな場面では・・・
【お子さんから質問攻めにあった時】
お子さんの気持ち
ねえねえ、これ、なーに?
これは、何からできているの?
「あとで」って、いつ?
親の気持ち
いちいち、面倒だなあ・・・
どうでもいいことを、聞かないで!
今忙しいのに、困ったなあ・・・
こんな時にはこんな言葉がけを・・・
「お母さんも、わからないなあ。一緒に考えよう。」
「ちょっと待ってね。このお片づけが終わったら、お話を聞くね。」

「自己肯定感」を育む

ほめることを大切にする

他のお子さんや平均値と比べてしまいがちですが、お子さんの個性は一人一人みんな違います。
お子さんが関心をもって取り組んでいることや得意なことなど、その子のよいところを見つけてほめましょう。
家族やまわりの大人がお子さんの「がんばり」を認め、ほめることは、自信や「やる気」につながります。
<ポイント>
  • 子供の自信や喜びにつながるようにほめる
  • 心をこめてほめる
  • 結果ではなく、努力している姿やその過程をほめる
  • 具体的に、積極的にほめる
  • 親(ほめる側)の気持ちを伝える
こんな時にはこんな言葉がけを・・・
「お友だちにおもちゃを貸してあげて、えらかったね。」
 「やさしいお兄ちゃんになって、お母さんとってもうれしいな。」